【コラム】展示会用サンプルを3Dスキャン+3Dプリントで短期間制作|工程とポイントを解説

展示会で使用するサンプルやモックアップは、 見た目の再現性だけでなく、短納期での制作対応が求められることが多くあります。
本記事では、展示用サンプルとして当社代表の右腕を3Dスキャンし、3Dプリンターで出力・仕上げを行った事例をもとに、3Dスキャンからデータ補正、造形、塗装までの工程をわかりやすくご紹介します。
あわせて、発注検討時に役立つように、「3Dスキャンしただけではそのまま造形できない理由」 や、短期間で進めるために事前に確認しておきたいポイントも解説します。
この記事でわかること
• 展示会用サンプル制作で、3Dスキャンが有効なケース
• 3Dスキャンから3Dプリントまでの基本工程
• データ補正が必要になる理由(人体・可動物の注意点)
• 素材や造形方法の選択肢(樹脂・FRP・発泡スチロール・金属など)
• 相談時に伝えるとスムーズな情報(用途・サイズ・納期など)
今回の事例概要|展示用サンプルとして「右腕」を制作
今回の事例では、展示用サンプルとして、当社代表取締役の右腕を三次元測定し、3Dプリンターで出力しました。

制作の目的
- ・展示会などで使用できる、視認性の高いサンプルを制作すること
- ・3Dスキャン~造形までの工程を、実物ベースで検証・紹介すること
今回の主な流れ
- 1. 右腕を3Dスキャン
- 2. スキャンデータの整理・不要部削除
- 3. 欠損部やブレの補正(CAD)
- 4. STLデータ作成
- 5. 3Dプリント出力
- 6. 接着・塗装・仕上げ
- 7. 固定用治具の製作
3Dスキャン~3Dプリント制作工程
1 レーザー式非接触3Dスキャナーで対象物をスキャン
まずは対象物(今回は右腕)を、レーザー式非接触3Dスキャナーでスキャンします。
使用機器: 「T-Scan Hawk II」

ポイント
• 非接触スキャンは、形状取得を効率よく進めたい場面で有効です
• 対象物の形状・姿勢・動きやすさによって、取得しやすさが変わります
• 人体のように動きが出やすい対象は、後工程の補正が必要となります。

2 基準点マーカーを使って、スキャン位置を安定追跡
ハンディ型3Dスキャナーは、手で持って動かしながら測定するため、 スキャナー自身の位置を正確に把握する必要があります。 そのため、高コントラストの丸いポイント(基準点マーカー)を対象物や周囲に配置し、 位置の安定追跡とデータ結合に活用します。

ポイント
• マーカーや治具、台座などは測定のために必要ですが、完成品データにはそのまま使えない場合があります。
• そのため、スキャン後には不要部の削除・整形作業が必要になります。
3 不要部の削除と、欠損・ブレの補正(CAD)
スキャンデータには、基準点マーカーや台座などの不要部分が含まれるため、 そのままでは3Dプリンター用データとして使えません。
不要部削除に加え、スキャンできていない部分やブレた部分をCADで補正し、 きれいなSTLデータを作成していきます。
特に人体は震えなどの動きが生じやすく、不明瞭な部分が発生しやすいため、データ補正は品質確保の重要工程です。


ポイント(重要)
• 3Dスキャン=即3Dプリント可能ではありません。
• 実務では、用途に応じた補正・整形(データクリーンアップ)が必要です。
• ここでの補正品質が、完成品の見栄えや再現性に大きく影響します。

対象物に応じた補正工程を適切に行うことで、 展示で使いやすいサンプル制作が可能になります。
4 STLデータを3Dプリンターで出力


補正後のSTLデータを3Dプリンターに読み込ませ、出力します。
今回は自社保有の小型3Dプリンターで対応した事例です。
ポイント
• 試作・展示用途では、サイズや仕上げレベルに応じて出力方式を選ぶのが効果的です。
• 大型化・強度・見た目の仕上げ条件によって、外部提携企業での造形も検討します。
5 接着・塗装・仕上げで展示品質へ
出力後は、必要に応じてパーツを接着し、塗装・乾燥・はみ出し除去などの仕上げ工程を行います。
展示会用途では、単に形状があるだけでなく、見栄え(表面品質・塗装)が重要です。

ポイント
• 使用目的(展示・説明・検証)によって、仕上げレベルの最適解は変わります。
• 見栄え重視か、形状確認重視かを先に決めると進行がスムーズです。

6 固定用の治具も製作(必要に応じて)
今回の事例では、サンプルを固定するための治具も3Dプリンターで製作しています。
展示時の安定性や見せ方まで含めて設計することで、 実用性の高いサンプルになります。


ポイント
• サンプル本体だけでなく、展示方法(固定・角度・見せ方)も相談すると完成度が上がります。
展示会用サンプル制作でワード技研の3Dスキャンサービスを活用するメリット
1. 実物の立体形状をそのままベースにしやすい
既存の製品や部品の実物をそのまま使ってサンプルを作りたい場合、3Dスキャンで正確にデジタル化すれば、形を忠実に再現できます。
2. サイズを自由に拡大・縮小できる
大きすぎる製品を小さくして展示しやすくしたり、逆に小さなクレイモデルや試作品を大きくスケールアップしてインパクトを出せます。展示ブースで目を引きやすくなり、来場者の注目を集めやすくなります。
3. 展示・営業で伝わりやすい立体サンプルを作れる
写真だけでは伝わりにくい内容も、立体のサンプルがあることでイメージが伝わりやすくなり、説明しやすくなります。
4. 用途に応じて素材や方法を選べる
用途・サイズ・仕上がりに応じて、 3Dプリント以外の方法(FRP、発泡スチロール、金属加工など)も選択できます。
発注前に確認したいポイント(短期間・高品質で進めるために)
展示会用サンプル制作をスムーズに進めるためには、初回相談時に以下の情報を共有いただくのがおすすめです。
1. 用途(何に使うか)
- 展示会での展示用
- ショールーム展示用
- 営業説明用・社内確認・検証用 • 撮影用モックアップ など
2. 希望サイズ
実寸か、縮小/拡大か • 設置スペースの制約があるか
3. 希望納期
展示会日程 • 社内レビュー日 • 出荷・搬入スケジュール
4. 仕上げレベル
• 見た目重視(塗装仕上げあり)
• 形状確認重視(簡易仕上げ)
• 強度や耐久性が必要か
提携企業でベテラン塗装師さんによる高精細な塗装も可能です。

5. 事前資料の有無
• 現物(スキャン対象) • 写真 • 参考イメージ(完成イメージ)
対応可能な造形方法・素材(用途に応じてご相談可能)
今回の事例では自社保有の小型3Dプリンターを使用していますが、案件内容に応じて、提携企業も含めた造形方法のご相談が可能です。
- ・FRP(繊維強化プラスチック)
- ・発泡スチロール+樹脂コーティング補強
- ・金属切削加工
- ・鋳造
- ・その他、用途・サイズ・仕上げ条件に応じたご提案


※案件内容により、最適な方法は異なります。
まずは用途・サイズ・希望納期をもとにご相談ください。
まとめ|3Dスキャンを活用した展示会用サンプル制作は 「工程設計」が重要
3Dスキャンを活用した展示会用サンプル制作では、 単にスキャンするだけでなく、データ補正・造形方法の選定・仕上げ・展示方法(治具)まで含めて設計することで、実用性の高い成果物につながります。
展示用サンプル制作・3Dスキャンサービスのご相談
展示用サンプル、モックアップ、説明用モデルの制作は、用途・サイズ・納期・仕上げ条件によって最適な工程が変わります。
「図面がない」「まず可否を知りたい」という段階でもご相談可能です。
ご相談時に、以下の情報をお知らせいただくとご案内がスムーズです。
- ・用途(展示/営業/検証など)
- ・希望サイズ
- ・希望納期
- ・対象物の写真(可能であれば)
- ・仕上げイメージ(簡易/塗装仕上げ など)
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 展示会用サンプルは、図面がなくても相談できますか?
はい、ご相談可能です。
対象物の種類や状態によっては、3Dスキャンを活用して形状取得できる場合があります。
まずは用途・サイズ・希望納期とあわせて、対象物の写真をご共有ください。
Q2. 3Dスキャンしたデータは、そのまま3Dプリントできますか?
ケースによります。 実務では、基準点マーカーや不要部分の削除、スキャン不足部分やブレの補正を行い、 STLデータを作成してから造形することが一般的です。この補正工程が完成品質に大きく影響します。
Q3. 納期はどれくらいかかりますか?
仕様(用途、サイズ、仕上げレベル、素材、数量)によって異なります。
展示会日程が決まっている場合は、逆算して進行方法をご提案しやすいため、 初回相談時に希望日をお知らせください。
Q4. どんな素材で制作できますか?
案件内容に応じて、3Dプリントのほか、 FRP、発泡スチロール+樹脂コーティング、金属切削加工、鋳造などの方法もご相談可能です(提携先対応含む)。
用途・サイズ・仕上がり条件に応じて、最適な方法をご提案します。
Q5. 人体のような動く対象でも対応できますか?
可能ですが、人体は動きが出やすく、スキャンデータに不明瞭な部分が生じることがあります。
そのため、用途に応じた補正工程を前提に、精度・見た目・納期のバランスを見ながら進めるのが実務的です。
- ・3Dリバースエンジニアリングサービスの詳細はこちら https://word-g.com/d3/
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- ・現物写真をメールで送る ifwdm@word-g.com
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